水島昇

東京大学 大学院医学系研究科・医学部 教授

プロフィール

1985年、武蔵高等学校卒業。1991年、東京医科歯科大学医学部医学科卒業。1996年、同大学院医学研究科修了、博士(医学)。1997年、岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所 ポスドク・さきがけ研究員・助手など。2004年、(財)東京都医学研究機構 東京都臨床医学総合研究所 室長。2006年、東京医科歯科大学医学部・大学院医歯学総合研究科 細胞生理学分野 教授。2012年、東京大学医学部・大学院医学系研究科 分子生物学分野 教授(現在に至る)。主な著書に『細胞が自分を食べる オートファジーの謎』(PHPサイエンスワールド新書)。

講義一覧


がん治療にも応用、オートファジーによる疾患制御の方向性

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(5)オートファジーと疾患の関係

オートファジーは人間の疾患とどのように関係しているのか。大隅良典氏の研究を皮切りに、急速に発展してきたオートファジー研究だが、その研究成果は医学の分野において、薬剤の開発やがん治療への応用など、新たな手法を生み出し得る貴重な知見となる。例えば、パーキンソン病やALS(筋委縮性側索硬化症)、アルツハイマー病など、現時点では治療が困難な疾患に対して、オートファジーを使い、それを制御するための試みが最前線で展開されている。その詳細と今後のビジョンについて解説していく。(全5話中第5話)


酵母がきっかけ、オートファジー研究とノーベル受賞への道

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(4)オートファジー研究の発展

オートファジー研究は、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏による「出芽酵母」への着目によって飛躍的に進展することになった。パン酵母である出芽酵母を用いることが、オートファジー研究において、いったいどのように画期的だったのだろうか。今回はその研究史を中心に見ていこう。(全5話中第4話)


さぼると細胞にゴミが…オートファジーの大事な役割とは?

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(3)オートファジーの2つの役割

細胞内のタンパク質を分解するオートファジーという働き。このオートファジーは、生物にとって欠かすことができない2つの役割を持っている。その役割とは「栄養素のリサイクル」と「細胞内をきれいにする」ということだが、それぞれどのようなことなのか。また、巷で喧伝される絶食やカロリー制限の効果とオートファジーの関係についてはどう考えればいいのか。マウスを使った研究を確認しながら、オートファジーの大事な役割について具体的に解説していく。(全5話中第3話)


オートファジーを蛍光顕微鏡で確認!栄養飢餓状態で活発に

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(2)プロテアソームとオートファジー

細胞内のタンパク質を分解する仕組みには、タンパク質を個別に選択して分解するユビキチン・プロテアソームという方法と、ある領域のタンパク質を丸ごと分解するオートファジーという方法の2つがある。両者の具体的な仕組みや違いはいったいどのようなものなのだろうか。オートファジーを中心に、具体的な研究例を見ながら解説していく。(全5話中第2話)


ノーベル賞受賞「オートファジー」とは?その仕組みに迫る

オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(1)細胞と細胞内の入れ替え

2016年ノーベル医学・生理学賞の受賞テーマである「オートファジー」とは何か。私たちの体は無数の細胞でできているが、それが日々、どのようなプロセスで新鮮な状態を保っているかを知る機会は少ない。今シリーズでは、細胞がその中身を入れ替える方法の1つである「オートファジー」について講義する。そこで今回は、まず細胞の構造や入れ替わりの仕組みを解説し、細胞に関する基礎的な理解を深めていく。(全5話中第1話)