宮本弘曉

一橋大学経済研究所教授

プロフィール

1977年生まれ。東京都立大学経済経営学部教授。慶應義塾大学経済学部卒業、米国ウィスコンシン大学マディソン校にて経済学博士号取得(Ph.D.in Economics)。国際大学学長特別補佐・教授、東京大学公共政策大学院特任准教授、国際通貨基金(IMF)エコノミスト、東京都立大学教授を経て現職。専門は労働経済学、マクロ経済学、日本経済論。
主な著書に、『101のデータで読む日本の未来』『51のデータが明かす日本経済の構造―物価高・低賃金の根本原因』(以上、PHP新書)、『日本の財政政策効果―高齢化・労働市場・ジェンダー平等』(日経BP)、『一人負けニッポンの勝機―世界インフレと日本の未来』(ウェッジ)などがある。

講義一覧


借金は悪ではない!? どうやって「賢い支出」をすればいいか

日本の財政政策とその効果を検証する(6)「賢い支出」のすすめ

世界では近年、財政政策が非常に注目を集めている。これは先進国が「セキュラー・スタグネーション」と呼ばれる長期停滞に陥っているからだ。そこからの脱却のためには財政出動が必要なのだといわれているのだが、日本は特に「課題先進国」として財政政策の抜本的な見直しが求められている。大事なことは「賢い支出」(ワイズスペンディング)で、効率的な支出をしていかなくてはいけない。そこで今回は世界的に有名な経済学者の発言を取り上げながら、積極的な財政政策の意義について解説する。(全6話中第6話)


ノーベル賞受賞者も指摘!男女の賃金格差を埋めるために

日本の財政政策とその効果を検証する(5)ジェンダー平等と反循環的な財政政策

世界の中でもジェンダーギャップが大きい日本だが、それを改善する糸口はどこにあるのだろうか。経済を刺激する財政政策はジェンダー平等の実現にもつながるのだが、より抜本的には、働き方の柔軟性が必要だ。日本がそれを実現するために乗り越えるべき雇用慣行の課題を解説する。(全6話中第5話)


日本のジェンダーギャップは世界的に大きい…要因は2つ

日本の財政政策の効果を評価する(4)日本のジェンダーギャップの解消

財政政策の効果に影響をもたらすのは、社会の高齢化だけではない。実は、財政政策がジェンダー平等にも影響を与えることが、最近のデータ分析から分かってきたのだ。まずは、世界の各国と比較してもジェンダーギャップが大きい日本の現状をデータで確認し、ギャップが生まれる原因を考える。(全6話中第4話)


長寿雇用戦略で構造改革、高齢化はピンチではなくチャンス

日本の財政政策の効果を評価する(3)高齢化をチャンスに変える方法

「財政政策の有効性を低下させる」という高齢化だが、まさに高齢化が進んだ日本社会において、どのようにすれば経済を立て直すことができるのか。一見ピンチに見える高齢化だが、実はチャンスなのだと宮本氏はいう。鍵は「メリハリ」と構造改革である。どういうことなのか。「課題先進国」として世界に先んじて高齢化社会の課題に取り組む日本が取るべき政策を議論する。(全6話中第3話)


GDP・貯蓄・社会保障・財政政策…高齢化がもたらす影響

日本の財政政策の効果を評価する(2)高齢化が経済に与える影響

日本の高齢化率は現在世界一で、2030年には国民の3人に1人以上が高齢者になるといわれている。では高齢化は経済にどのような影響を与えるのか。最近の研究結果から、GDP、貯蓄、社会保障の3つに影響を与えることが分かっている。今回は、日本の高齢化の現状を確認し、それが財政政策に与える影響について、図表をもとに多角的に解説していく。(全6話中第2話)


高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響

日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下

バブル崩壊以降、いまだに低迷し続ける日本経済。その間、政府はさまざまな財政政策を打ち、浮上の糸口を探ってきた。では、これまでの財政政策は失敗だったといえるのだろうか。財政政策を評価する議論はそれほど単純ではない。今回は、財政政策を評価する「財政乗数」という指標から日本の財政政策を分析していく。(全6話中第1話)


世界で最も自己投資しない日本人…もっとスキルアップを

衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(6)流動的な労働市場で求められること

硬直的な日本の労働市場を流動化させるためには何が必要なのか。また、流動的な労働市場では何が求められるのか。企業の視点からいうと、一つのポイントは、賃金と労働生産性をリンクさせる賃金体系である。「成果主義」といわれるが、労働の成果に見合った給料体系にしていくことが流動的な労働市場では重要になってくる。実は賃金と生産性を等しくすると、企業にとっても労働者にとってもいいのだ。どういうことなのか。ということで、今回は企業、労働者個人、政府という3つの視点から、それぞれ必要なことを解説する。(全6話中6話)


労働市場が硬直的な日本…転職率はアメリカの4分の1以下

衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(5)3つの「メガトレンドの変化」

流動的な労働市場というと、日本では「解雇しやすくなる」「首を切られる」といったマイナス面として捉えられる。だが実は、流動的な労働市場のほうが労働者にとってプラスなのである。どういうことなのか。実は今、日本は3つの「メガトレンドの変化」の渦中にあり、もはや働き方や雇用形態が変わらざるを得ない事態に直面しているのだ。その「3つのメガトレンドの変化」とは何か。具体的に解説する。(全6話中5話)


問題は日本的雇用慣行の機能不全…鍵は労働市場の流動性

衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(4)賃金を上げるための改革

賃金の上がらない要因として、「労働生産性」に引き続き「労働市場の構成」に焦点を当てる。日本の労働市場は「専業主婦つき男性正社員」を想定してきたが、現在は想定外の労働者が増加し、それが社会に歪をもたらしている。これらを踏まえ、賃金の上昇をもたらすために日本が求められる変化とは何かを解説する。(全6話中4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


なぜ賃金が上がらないのか…賃金を決定づける4つの要因

衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(3)日本経済浮上のカギを握る「賃金」

物価は上がっているのに賃金が上がらない…これでは消費が抑えられ、経済が停滞してしまう。よって日本経済浮上のカギを握る重要な要素は「賃金」で、持続的な賃金の上昇が必要になると宮本氏は言う。では賃金はどのように決まってくるものなのか。そもそも賃金を決定づけるものとして、経済学的には4つの要因があるという。そこで今回はその要因の一つである「労働の生産性」について解説を進めていくのだが、海外のデータなどと比較すると、日本の「労働の質」が下がってしまったなど衝撃的な事実が浮かび上がってくる。いったいどういうことなのか。(全6話中3話)


「日本病」をもたらす低賃金、低物価、低成長、高債務

衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(2)景気低迷を招く「日本病」の正体

日本は30年ほどずっと「日本病」といわれる症状に陥っているといわれている。その要因として、3つの「低」と1つの「高」があると宮本氏は言う。それらはいったい何か。また、なぜいまだに「日本病」から回復しないのか。一般的に不景気の際には財政政策が有効だといわれるが、現在の日本は財政政策が効果を発揮しにくい状況にある。それはなぜか。今回は、日本経済が弱くなった要因とされる「日本病」の中身と財政政策の有効性について解説する。(全6話中2話)


世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実

衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ

現在、世界中でインフレが発生し、日本でもここ1年ほど急激なインフレ(物価上昇)が進んでいる状況である。とはいえ日本は、長い間デフレに苦しみ、経済が停滞してきた過去がある。しかも戦後、デフレを経験したのは日本だけなのだ。その間、価格競争が行われ、その結果、物価が下がり、賃金が下がる。賃金が下がるから物価が下がる、というループに入ってしまった。ということで「安い国」になってしまった日本だが、なぜこのような事態が起こったのか、デフレに沈んだ日本の姿をさまざまなデータをもとに解説しながら考える。(全6話中1話)