武田俊太郎

東京大学大学院工学系研究科准教授

プロフィール

1987年東京生まれ。
東京大学大学院工学系研究科准教授。
専門は量子光学・量子情報科学。日本における数少ない量子コンピュータの開発者。
東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、分子科学研究所での職を経て、2019年より現職。
これまで光を用いたさまざまな量子技術の研究に関わっており、現在は独自方式の光量子コンピュータ開発に取り組んでいる。
主な著書に『量子コンピュータが本当にわかる! ― 第一線開発者がやさしく明かすしくみと可能性』(技術評論社、2020年)。

講義一覧


量子コンピュータの作り方…4つの開発方式で主流なのは?

本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(4)開発の現状

量子コンピュータには「超伝導回路」「イオン」「半導体」「光」といった複数の開発方式があるが、全てに共通する課題として、エラーへの対処法が挙げられる。「エラー訂正」の仕組みは存在しているが、それを完全に実現するための道のりは遠いのが現状だ。そこで、今はその完成を目指すとともに、「エラー訂正」がきかない状態での活用法の研究も進められている。(全4話中第4話)


「最適化」の問題で活用が期待される量子コンピュータ

本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(3)計算の仕組みと応用

量子の性質をもっともよく表す典型的な実験に「2重スリットの実験」がある。これは「水の波」を利用するとイメージしやすい。量子を「粒」ではなく「波」として捉えることで、そこで生じた「重ね合わせ」と「干渉」という現象を計算の原理に応用するということだ。そうして、薬や素材の開発、また最適化といった応用分野などに画期的な成果をもたらすことが、量子コンピュータに期待されている。(全4話中第3話)


量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か

本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史

量子コンピュータは1980年代まだ概念的なものであり、何の役に立つのかすらよく分かっていなかった。その後、1990年代に価値のあるものだという認識が広がり、2000年代以降、研究機関で基礎研究が本格化、さらには企業も開発に乗り出すことになった。今回はコンピュータの歴史をたどりながら、量子コンピュータの可能性に迫る。(全4話中第2話)


「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか

本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か

量子コンピュータの開発競争が繰り広げられる中、いやが上にも盛り上がる期待。しかし、その期待の多くは誤解に満ちていると、量子コンピュータの開発者である武田俊太郎氏は話す。それはどういうことなのか。そもそも量子コンピュータとはどのようなものなのか。開発が進んでいくと、社会的にどんなインパクトをもたらすのか。また、将来は一家に一台量子コンピュータという時代になるのか。などなど、まさに「量子コンピュータとは何か」を知るための入門講義。(全4話中第1話)