山添博史

防衛研究所 地域研究部 米欧ロシア研究室長

プロフィール

1975年3月大阪府生まれ

【経歴】
1997年 京都大学工学部情報工学科学士
2002年 京都大学人間・環境学研究科修士
2005年 ロンドン大学スラブ東欧研究所修士
2008年 京都大学人間・環境学研究科博士
2008年 防衛研究所助手
2011年 防衛研究所主任研究官
2012年 英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)客員研究員

【専門分野】
ロシア安全保障、国際関係史

【使用言語】
日本語、英語、ロシア語

【業績その他】
・「中央ユーラシアにおける清朝とロシア帝国:多元的文明の接触」中西輝政編『シリーズ日本人のための文明学1 文明と覇権から見る中国』ウェッジ、2022年2月
・「ウクライナをめぐるロシアの強要戦術」NIDSコメンタリー、防衛研究所、2022年2月
・「ロシアの海洋への道と榎本武揚」『海外事情』2021年11月(上)、2022年1月(中)、2022年3月(下)
・「ロシアと米中対立――対米闘争、対中協力の構造と苦悩」『治安フォーラム』2021年12月
・「米露関係におけるSolarWinds社サイバーセキュリティ事案」日本国際問題研究所、2021年6月
・書評「左近幸村著『海のロシア史:ユーラシア帝国の海運と世界経済』」『ロシア・東欧研究』2021年5月
・「2021 年春のウクライナにおけるエスカレーション危機」NIDSコメンタリー、防衛研究所、2021年5月
・「ロシアをめぐるサイバー問題―ロシアの情報セキュリティ概念とSolarWinds 社事案―」日本国際問題研究所『大国間競争時代のロシア』令和2年度報告書、2021年3月
・「ロシアの国際闘争手段としての核兵器──『戦略的抑止』における最終手段,紛争局限手段,言説攻勢手段」『国際政治』203号、2021年3月
・「ロシアの多層的な闘争手段」ブリーフィング・メモ、防衛研究所、2020年10月
・「ロシアの登場と東アジア地政学の変動」「共産中国の誕生から米中接近まで」中西輝政編著『アジアをめぐる大国興亡史1902-1972』PHP研究所、2020年9月
・「プーチン政権と第二次世界大戦」NIDSコメンタリー、防衛研究所、2020年8月
・「ロシアと清朝の境界と条約をめぐる概念の相違:ニコライ・イグナチエフと一八六〇年北京条約に至る折衝過程」『ロシア史研究』104号、2020年4月
・「ロシアの対中軍事協力関係の展望」日本国際問題研究所『ポスト・プーチンのロシアの展望』令和元年度報告書、2020年3月
・「中東における 「ロシア流」アプローチ」『外交』Vol.60、2020年3月
・「中央アジア・ロシアから見た中国の影響力拡大:ユーラシア空間における協力と自律性の追求」 『中国安全保障レポート2020:ユーラシアに向かう中国』防衛研究所、2019年11月
・「ロシア軍機・中国軍機の竹島周辺飛行」NIDSコメンタリー、防衛研究所、2019年8月
・「中央アジア国際環境の伝統的構造と変化の可能性」防衛研究所ブリーフィング・メモ、2019年4月
・「ロシアにとっての戦略的安定性問題」日本国際問題研究所『ポスト・プーチンのロシアの展望』平成30年度報告書、2019年3月
・「ユーラシア帝国ロシアの境界問題と幕末日本」友田昌宏編『幕末維新期の日本と世界:外交経験と相互認識』(吉川弘文館、2019年3月)
・"Sino-Russian Cooperation from the Perspective of the U.S.-Japan Alliance," Asia Policy, National Bureau of Asian Research, January 2018
・「東アジアにおけるロシア軍事の継続性と新展開」日本国際問題研究所『アジア太平洋地域における経済連携とロシアの東方シフトの検討』報告書、2017年3月
・「ロシアのシリア問題関与」防衛研究所ブリーフィング・メモ、2016年12月
・“The Prospects and Limits of the Russia-China Partnership”, RUFS Briefing, Swedish Defence Research Agency (FOI), December 2015
・「ウクライナ東部紛争の構造」防衛研究所ブリーフィング・メモ、2015年11月
・[Presentation] "Russian Approach to China after the Ukrainian Crisis", ICCEES IX World Congress, August 2015
・「ロシア・中国の安全保障関係」北方領土問題対策協会ウェブサイト、2015年3月
・「ロシアの東方進出と東アジア――対露境界問題をめぐる清朝と日本」岡本隆司 編『宗主権の世界史――東西アジアの近代と翻訳概念』(名古屋大学出版会、2014年)
・『国際兵器市場とロシア』(東洋書店、2014年)
・「中央アジア中央アジアにおけるロシアの安全保障政策とテロ対策―上海協力機構および集団安全保障条約機構を通じた協力と課題」『FOI-NIDS共同研究 隣国からの視点:日本とスウェーデンから見たロシアの安全保障』(防衛研究所、2012)
・"Friends or Rivals? Sino-Russian 'Naval Cooperation 2012' ", RUSI Newsbrief, vol. 32, no. 4 (July 2012)
・「中露ロシアの安全保障分野における対中関係―リスク回避と実益の追求―」『ロシア・東欧研究』第40号(2012)
・「「ロシア連邦軍事ドクトリン」に見られる軍事政策議論:底流としての伝統的安全保障観と核兵器重視」『国際安全保障』39巻1号(2011)
・「露清天津条約におけるプチャーチンの「仲介外交」」『ロシア史研究』83号(2008)
・「冷戦後の極東におけるロシアの自己認識と対中政策」『社会システム研究』10号(2007)
・「江戸時代中期に胚胎した日本型「近代的」国際秩序観:寛政期から幕末にかけての対ロシア政策を通じて」『国際政治』139号(2004)
・「ムラヴィヨフの対中対日外交:アムール川流域と樺太」『社会システム研究』6号(2003)

講義一覧


規範違反を繰り返すロシア…国際社会が果たすべき役割とは

歴史から考える「ロシアの戦略」(7)今後のロシアと国際社会

プーチン政権が戦争を続ける目的が何なのか。2022年に始まったウクライナへの軍事侵攻は、ロシアにとってはもはや引くに引けない状況になっている。今後もその状況は続きそうだが、そこで問われるのが国際社会の姿勢である。硬直化するロシアの体質と、それを取り巻く、日本を含めた国際社会の振る舞いを考える。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


南オセチア、クリミア…なぜプーチンは実力行使をするのか

歴史から考える「ロシアの戦略」(6)プーチンのロシア

プーチンは大統領就任当初、大国との協調姿勢を示していたが、その後、軍事力を背景にした実力行使へと方向転換することになる。それはなぜか。分岐点は2008年のジョージア問題にある。ジョージア内での紛争をおさめたロシアの経験がやがて2022年ウクライナへの軍事侵攻へとつながっていくことになる。今回はプーチン率いるロシアのこれまでの歩みをたどりながらその政治的思惑に迫る。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


キューバ危機、アフガン、新冷戦…なぜソ連は崩壊したか?

歴史から考える「ロシアの戦略」(5)冷戦の時代とソ連解体

キューバ危機以降、アメリカを警戒しながらも核兵器の開発などにより一定の地位を築いたソ連。冷戦構造の中で社会主義国を牽引していたソ連だが、1980年代以降、その足場は崩れ出す。社会的背景や疑心暗鬼が生んだ悪手をひも解き、ソ連解体のきっかけまでを振り返る。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


全面戦争はできない!?戦後のソ連の思惑と米ソ軍備拡張競争

歴史から考える「ロシアの戦略」(4)ソ連の極東戦略と戦後の米ソ対立

ソ連の基本戦略は強国との対決を避けることである。強国の中でソ連にとって最大の敵はアメリカである。では第2次世界大戦から戦後にかけてソ連はどのような動きをしていたのか。その流れを追いながら、自国維持のためにアメリカとの直接対決を避けようとしたソ連の思惑と戦略を解説していく。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


「侵略的行為」「領土拡張」へのソヴィエト側の論理とは

歴史から考える「ロシアの戦略」(3)ロシアの領土拡張と「2つの願望」

日露戦争を経て、アジアからヨーロッパ諸国へと侵攻の矛先を変えていったロシア。一見、拡張主義的な侵略行為に見えるロシアの動きだが、そこにはどのような意味があったのだろうか。第1次世界大戦期までを振り返り、ロシアの領土拡大とその背景にあった「2つの願望」について解説する。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


想定外だったクリミア戦争の顛末…ロシアにとっての19世紀

歴史から考える「ロシアの戦略」(2)19世紀のロシア

クリミア戦争、中央アジアの南下、さらに極東へ領土拡大のため向かったロシア。19世紀の動きに着目すると、イギリスやフランスとの衝突をできるだけ避けながら東アジアに攻め入ろうとしたロシアの思惑が見えてくる。それを知ることが現在のロシアの振る舞いを理解するためには必要である。今回は、想定外だったクリミア戦争の顛末をはじめ19世紀のロシアについて解説する。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


なぜウクライナに侵攻?弱小国を狙ってきたロシアの歴史

歴史から考える「ロシアの戦略」(1)ロシアの基本戦略と行動

ロシアの行動を予見するためには、ロシアの歴史をひもとき、その行動パターンや基本戦略を知っておくことが重要である。ロシアの歴史を振り返ると、実はこれまでターゲットにしてきたのは強国・大国ではなく、弱小国であることが見えてくる。そして、その背景には、ロシアが18世紀まで草原の遊牧民からも荒らされるような弱みもあった国であったこともあるのだ。本講義では現在、ロシアの侵略行動に対して国際秩序がどのような危機に直面しているかを確認するとともに、ロシアの歴史的な基本戦略とその行動について解説する。(全7話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ロシアと中国が軍事協力…日本が見るべきポイントとは

プーチンのロシア―その思想と戦略―(6)中露関係と日本の対策

SNSが軍事戦略でも活用されている現在、適切な情報の取捨選択が求められている。他国の情報戦略に振り回されないために日本がすべきこととは何か。また、ウクライナ情勢が緊迫する中で、ロシアと中国の関係にも注目が集まっている。日本は両者の関係をどう見ていくべきなのか。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


突然のウクライナ侵攻…ロシア将兵を危険にさらす非合理性

プーチンのロシア―その思想と戦略―(5)侵攻の論理と情報戦略

心理戦術を中心に行ってきたロシアの対ウクライナ軍事戦略だったが、それは突如として武力行使に変わった。世界から孤立し批判が強まるプーチンだが、感情的で非合理ともいえるこの戦争を続ける理由は何なのか。一種の情報戦である「社会言説空間作戦」と「西欧社会分断」作戦とあわせて解説する。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


歴史観と文化にみるウクライナ人とロシア人の大きな違い

プーチンのロシア―その思想と戦略―(4)ロシアとウクライナの歴史観

ロシアによるウクライナ侵攻の背景には、ロシアとウクライナ両国の歴史観の違いがある。自由を求めるウクライナと、支配の論理を振りかざすロシアの溝は、プーチン政権の下でますます深まっている。今回の武力行使は、焦りを感じたプーチンの失敗なのか。(全6話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ハイブリッド戦争を理解するための“伝統的な敷居”とは

プーチンのロシア―その思想と戦略―(3)「ハイブリッド戦争」とは何か

2014年、ロシアがウクライナ領であったクリミア半島を占拠したことで、「ハイブリッド戦争」と呼ばれる軍事戦略が注目を浴びるようになった。ほぼ無血でのクリミア併合はどのようにして可能になったのか。なぜウクライナは抵抗できなかったのか。その真相に迫る。(全6話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


プーチンとオリガルヒの不可思議な関係とロシア社会の闇

プーチンのロシア―その思想と戦略―(2)政権初期の成果とロシアの闇

ロシア連邦初代大統領であるエリツィンは民主主義と市場経済を導入し、急激な体制の転換を行った。それにより政治や経済は混乱したが、次の大統領に就任したプーチンは独立勢力のようになっていた新興勢力を統制することで社会の安定を進めた。しかし、ロシア社会には闇の部分も少なくない。チェチェンの闇とともに解説する。(全6話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観

プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴

2022年2月に始まったロシア軍のウクライナ侵攻は、世界に大きな衝撃を与えている。なぜ戦争は起こってしまったのか。そもそもプーチン大統領の政治とはどういったものなのか。侵攻の背景にあるプーチンの思想的特徴を中心に、旧ソ連圏・アメリカ・中国に対する戦略など、「プーチン政治」について解説する。(全6話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)