前野隆司

武蔵野大学ウェルビーイング学部、学部長

プロフィール

1962年  山口市生まれ
1984年  東京工業大学工学部機械工学科卒業
1986年  東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了
1986年  キヤノン株式会社入社、生産技術研究所勤務
1990年7月 カリフォルニア大学バークレー校機械工学科 Visiting Industrial Fellow(1992年6月まで)
1993年  博士(工学)学位取得(東京工業大学)
1995年  慶應義塾大学理工学部機械工学科専任講師
1999年  慶應義塾大学理工学部機械工学科助教授
2001年  ハーバード大学応用科学・工学部門 Visiting Professor(9月まで)
2006年  慶應義塾大学理工学部機械工学科教授
2008年  慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授
2008年  慶應義塾大学環境共生・安全システムデザイン教育研究センター長兼任
2011年  慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科委員長、およびシステムデザイン・マネジメント研究科付属システムデザイン・マネジメント研究所長兼任。
2017年-2024年3月 慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター, センター長
2024年 武蔵野大学ウェルビーイング学部、学部長・教授

<主な著書>
『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房、2004)
『錯覚する脳―「おいしい」も「痛い」も幻想だった」』(筑摩書房、2007)
『脳の中の「私」はなぜ見つからないのか―ロボティクス研究者が見た脳と心の思想史』(技術評論社、2007)
『思考脳力のつくり方―仕事と人生を革新する四つの思考法』(角川書店、2010)
『脳は記憶を消したがる』(フォレスト出版,2013)
『死ぬのが怖いとはどういうことか』(講談社,2013)
『幸せのメカニズム-実践・幸福学入門』(講談社現代新書,2013)
『システム×デザイン思考で世界を変えるー慶應SDM「イノベーションのつくり方」』(日経BP,2014)
『実践・脳を活かす幸福学 無意識の力を伸ばす8つの講義』(講談社,2017)
『幸福学×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』(内外出版社,2018)
『「幸福学」が明らかにした 幸せな人生を送る子どもの育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン,2018)
『ニコイチ幸福学 研究者夫妻がきわめた最善のパートナーシップ学』(CCCメディアハウス,2019)
『幸せな職場の経営学~「働きたくてたまらないチーム」の作り方』(小学館,2019)
『無意識がわかれば人生が変わる - 「現実」は4つのメンタルモデルからつくり出される』(ワニブックス,2020)
など多数

講義一覧


幸せも不幸せも伝染する――幸せの輪を広げて世界平和へ

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(7)幸福度を高める方法

幸福度はどうすれば高めることができるのか。その方法として、4つの因子を意識するといいのだが、それぞれ些細なことでも少しずつ積み重ねていくことが大事だ。また、つらいときには「メタ認知」を行うといい。自分を上から見ることによってそうした状態を乗り越えられたとき、元の状態に戻っていくことができる。実は、幸せも不幸せもうつっていく。つまり、個人が幸せになれば、その幸せは周りにも伝染していくのだ。(全7話中第7話)


「幸せをめざす人は不幸、めざさない人は幸せ」という研究がある

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(6)独立と自分らしさの「ありのままに因子」

「独立と自分らしさの因子」、(ありのままに因子)が、幸せになるための4つ目の因子である。他人と比較しすぎず、自分らしくいることで、幸福度は高まる。4つの因子はどれも重要で相互に関係しているが、その一方で実は「幸せをめざす人は不幸、めざさない人は幸せ」という研究結果もある。それはどういうことなのか。(全7話中第6話)


「なんとかなる因子」を高めるには「ありがとう因子」が重要

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(5)前向きと楽観の「なんとかなる因子」

幸せになるための3つ目の因子は、「なんとかなる因子」だ。「なんとかなるさ」と楽観的に考えて自己受容を高めることで、幸福度は高まる。しかし、遺伝子的に見ても日本人は心配性になりやすい傾向があることが分かっている。そして、現代の日本社会は個人主義に寄り過ぎている。よって、日本は集団主義的に支え合う文化に立ち返ることが重要である。(全7話中第5話)


友だちの多様性が「レジリエンス」と「幸福度」を高める

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(4)つながりと感謝の「ありがとう因子」

幸せになるための2つ目の因子は、つながりと感謝の「ありがとう因子」である。他人に感謝できる人や、利他的な行動を取れる人は、幸福度が高い傾向がある。このような人は、友人が多く、さらに多様な友人を持っていることが多い。こうした友人関係を持つことで、心が折れそうになったときに立ち直る力を示す「レジリエンス」が強くなり、幸せな状態に戻ってくる可能性を高めることができる。(全7話中第4話)


幸せになるための条件は4つに集約することができる

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(3)自己実現と成長の「やってみよう因子」

日本人を対象としたアンケートに基づく研究によれば、幸せの源泉は4つの因子に集約することができるという。その1つ目が、「やってみよう因子」という自己実現と成長の因子である。自分の仕事などに対して、やらされ感ではなく、やりがいをもって取り組むことが幸福度に大きく関係する。そして、それが生産性や創造性の向上につながることを、ドラッカーのレンガ積み職人の話や企業での実例を挙げながら解説する。(全7話中第3話)


社員を幸せにする「幸福経営」は欧米では常識となっている

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(2)年収・寿命・仕事と幸せの関係

幸せのために必要なものとしてまず浮かぶのはお金だが、実は年収が平均値あたりを超えると、年収と幸せの間に相関が見られなくなる。次に寿命との関係だが、幸せに気をつけると健康で長寿になり、また年齢が高くなればなるほど幸せを感じやすくなることが分かっている。3つ目は仕事との関係だが、幸せな社員は創造性・生産性が非常に高いということで、欧米では社員を幸せにする「幸福経営」は常識となっている。(全7話中第2話)


実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている

「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度

日本は世界的に幸福度が低いといわれているが、日本人は本当に不幸なのか。それを測定する方法に問題がある可能性もある。では、どんな条件を満たせば人は幸せになるのか。幸せに関するさまざまな研究結果をともに「幸せのメカニズム」について解説する。(全7話中第1話)