井口潔

九州大学名誉教授/日本外科学会名誉会長/医学博士・理学博士

プロフィール

<プロフィール>
大正10 年10月21日福岡県生まれ
昭和20年9月:九州帝国大学医学部卒
昭和20年10月:九州帝国大学大学院特別研究生
昭和22年10月:九州大学医学部第二外科助手
昭和25年8月:医学博士の学位取得
昭和28年7月:お茶の水女子大学理学部講師
昭和31年9月:理学博士の学位取得
昭和32年8月:九州大学助教授
昭和34年10月:アメリカ、西ドイツ留学
昭和38年4月:九州大学教授、外科学第二講座担任
昭和48年4月:九州大学評議員
昭和50年4月:九州大学医学部附属病院長 九州大学評議員
昭和52年10月:Fellow of American College of Surgeons(FACS)、第15回日本癌治療学会会長として総会を主宰
昭和53年4月:第78回日本外科学会会長として総会を主宰
昭和55年:西日本文化賞受賞
昭和57年より10年間:日本学術会議会員 (第12・13・14期)
昭和59年:日本医師会医学賞受賞
昭和60年3月:退官、九州大学名誉教授、佐賀県立病院好生館長
昭和61年:がん集学的治療研究財団理事長、「井口記念人間科学振興基金」設立
平成8年4月:勲二等瑞宝章を賜る
令和3年 逝去(享年99)

【主な著書】
『人間力を高める脳の育て方鍛え方』(2015、扶桑社)
『ヒトの教育』 (2005、小学館)

講義一覧


どんな時もひるまないという心構えなしに人を教育できるか

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(9)自分で自分を教育せよ

人間は自己教育の範囲を超えて人を教育することはできない。よって、人を教育するためには、自己教育の範囲を広くしておかなければいけない。それは自分との闘いでもあり、修行ともいえる。よって、他人が強制できるものではない。ただ今の世の中は、自己教育が不足しているのではないか。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


他者操作は道徳的に禁止しなければならない

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(8)道徳と自己抑制

子どもの健全な成長にとって道徳教育は非常に大事だが、特に自己を抑制するという意識を持つことが重要と、井口潔氏は指摘する。幼年期に必要なのは自己抑制で、そのために道徳がある。しかし、青年期になって道徳を身につけようとすると、その道徳を自分の都合の良いようにねじ曲げてしまうという。それはどういうことなのか。(全9話中第8話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


「この子を天才にしよう」と詰め込むと大変なことになる

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(7)親が気をつけること

子どもの成長において大事なのは、友だちから好かれるかどうかという点だ。親としては、さまざまな人と触れ合う中で、人に好かれる人間になるようアシストしてあげることが求められる。また、子どもを天才にしようとして、脳の発達段階にそぐわないことを無理やり続けると、子どもの健全な成長を阻害してしまう。そうならないためにも、親がまずちゃんと “人間”になっていることが重要である。(全9話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


ゆとり教育の間違いは幼年期と青年期の教育の違いにある

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(6)幼年期と青年期の教育の違い

しつけと同様に、教育の方法も幼年期と青年期では異なる。幼年期の教育は、パターン認識としてひたすら知識を蓄えていき、中学から高校にかけての青年期は、そうした知識を論理的に理解していく教育が望まれる。この違いにゆとり教育の失敗の一端があると井口潔氏は指摘する。(全9話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


子離れ、親離れで大事なのは、「心を離さない」ということ

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(5)10歳からの子育て

子どもは10歳になると、大脳が発達し始め自立して行動するようになる。この段階ではこれまでの我慢のしつけを抑えて、子どもが意欲的に物事に取り組むことを後押しするように切り替える必要があるという。そこで重要となるのが子離れ、親離れである。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


しつけするときに大事な「温・凛・厳・畏」とは何か

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(4)我慢ができる子になるために

脳の発達段階に応じてしつけの方法を変える必要があると前回指摘されたが、具体的にはどのようにすれば良いのか。1、2歳の頃から始まる第1次反抗期において我慢を身に付けることも大事だが、そのときにポイントとなるのは、「温・凛・厳・畏」のしつけだと井口潔氏は言う。それはどのようなものなのか。(全9話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


赤ちゃんの脳を人間の脳にする「リリーシング」とは

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(3)「リリーシング」としつけ

生物学的な観点から教育を見ると、年齢に応じて必要な教育は異なる。赤ちゃんに必要なのは、人間としての脳にするために重要な「リリーシング」という働きかけである。赤ちゃんは親の表情や行動などから非常に多くの影響を受けている。では親は赤ちゃんの前でどうふるまえばいいのか。「リリーシング」としつけについて伺った。(全9話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


なぜ「生まれたばかりの子はまだ人間ではない」のか

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(2)「ヒト」から人間へ

生物の体としてのヒトの進化は、チンパンジーまで行き着いてひと段落した。ヒトはその体に巨大な脳を備えた生物として誕生したが、生まれた時点ではまだ人間ではない。しつけと教育によって、人間へと変わっていく。このことは、胎児の期間にできた脳内の隙間が、外界からのさまざまな刺激による脳の発達によって埋められていくという事実からも裏付けられている。(全9話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)


人間科学は宗教や哲学ではなく生物学的に人の心を見る学問

98歳の医師が明かす「生物学的教育論」(1)人間科学と危機感

昨今、教育に関する議論はますますヒートアップしてきており、学力だけではない人間力を高めることの重要性が各所で指摘されている。その中でも、井口潔氏の掲げる「生物学的教育論」というコンセプトは、非常にユニークなものである。第1話の今回は、外科を専門としてきた井口氏がどのような経緯で生物学的教育論に行きついたのか、その半生とともに語る。(全9話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)