丸島和洋

東京都市大学共通教育部 人文・社会科学系 教授

プロフィール

1977年、大阪府生まれ。
慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。
博士(史学)。
現在、東京都市大学共通教育部准教授。

主な著書に
『戦国大名武田氏の権力構造』(思文閣出版)、
『戦国大名の「外交」』(講談社選書メチエ)、
『真田四代と信繁』(平凡社新書)、
『戦国大名武田氏の家臣団――信玄・勝頼を支えた家臣たち』(教育評論社)、
『武田勝頼 試される戦国大名の「器量」』(平凡社)、

共編著に『武田氏家臣団人名辞典』(東京堂出版)、などがある。

講義一覧


戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係

戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家

戦国時代とは、主たる政権が不明確で、多数の戦国大名によって分裂した地域国家の時代である。そこにおいて重要だったのは、それぞれの戦国大名に服属していた国衆の存在である。この国衆の動向は戦国大名同士の「外交」にどのように影響を与えたのだろうか。(全8話中第1話)


同盟の成立と破壊…北条・今川・武田三国同盟の構造とは

戦国大名の外交、その舞台裏(2)戦国大名の同盟

大名同士が和睦や同盟を結ぶ際、そこではどのような前提があったのだろうか。武田・今川・北条の事例によれば、対立構造は主として大名の面目が潰されることによって引き起こされていたという。一方、大名間での仲介の役割を果たすのは国境に位置する国衆で、彼らによって和睦が成立していった。(全8話中第2話)


和睦・同盟交渉において重要な「取次」という外交官の役割

戦国大名の外交、その舞台裏(3)「取次」という外交官

大名間での和睦や同盟交渉の際に重要な役割を担うのが、双方の家臣から選ばれる「取次」である。取次は大名の意向を正確に相手に伝えるだけでなく、その意向が家臣団の支持を得ているということを適切に伝えることが求められた。その意味で取次は現代でいう外交官に相当する、キーパーソンである。(全8話中第3話)


「起請文」とは高度な外交交渉の成果である

戦国大名の外交、その舞台裏(4)同盟の条件

実際に大名間で同盟を成立させるためには「起請文」と呼ばれる誓約書を交換する必要がある。この文書は外交文書と同様、相手方と文案を調整しながら、合意を成立させていくものである。その際に最も困難な交渉が領土協定であった。(全8話中第4話)


大名の書状に付ける副状に秘められた取次の高度な外交戦略

戦国大名の外交、その舞台裏(5)取次の働き:前編

取次のさまざまな活動のうち重要なものとして、大名の書状に付す副状の作成がある。これによって外交相手に対して大名がどのような立場にあるのかを第三者の目から理解できるようにし、同時に家臣団とも一致団結していることが示された。こうした外交官としての重大な役割により、取次は一つの大きな利権になっていった。(全8話中第5話)


武田と上杉の取次が行っていた外交上の巧妙な駆け引き

戦国大名の外交、その舞台裏(6)取次の働き:後編

取次になるということが一つの利権になっていたことで、大名の意向とは離れて勝手に外交を進めてしまうケースがあった。しかしそこでも、取次の体面を守る為、大名がそうした外交成果を追認することもあった。こうして取次は、大きな責任を負いながら外交上の駆け引きを行っていく。(全8話中第6話)


国盗り合戦のイメージは誤り?戦国時代の戦争の始まりかた

戦国大名の外交、その舞台裏(7)同盟の破棄と開戦:前編

一般的に知られるより慎重であった戦国大名の間で、戦争はいかに生じたのか。1つの要因として挙げられるのは国境の小競り合いの拡大である。特に問題となったのは、国境地帯に多く存在する国衆領だ。上杉謙信が永禄3(1560)年から北条領に侵攻した時の状況を取り上げながら解説する。(全8話中第7話)


兵の動員、鎧や具足、馬…戦国時代の合戦準備の実状とは

戦国大名の外交、その舞台裏(8)同盟の破棄と開戦:後編

大名同士の領地争いの際、国衆はしばしば両方の大名に服属した。こうした「両属」は争いを回避する有効な手段であった。しかし情勢が変わり、両属が困難になると、国衆の動きが本格的な戦争開始を決定づける要因にもなった。戦国大名にとって国衆の動きは常に重要なものだったのである。(全8話中第8話)