船橋洋一

公益財団法人国際文化会館グローバル・カウンシル チェアマン/元朝日新聞社 主筆

プロフィール

1944年北京生まれ。
東京大学教養学部卒。
1968年、朝日新聞社入社。
朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。
米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶応大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。
2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。
2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。2022年7月公益財団法人国際文化会館と統合、グローバル・カウンシル チェアマン。


【主な著書など】
2019  『シンクタンクとは何か-政策起業力の時代』 (中公新書)
2017  『米中戦争前夜――新旧大国を衝突させる歴史の法則と回避のシナリオ』
    (グレアム・アリソン著、 船橋 洋一・序文 その他、 藤原 朝子翻訳)(ダイヤモンド社)
2016  『21世紀 地政学入門』 (文春新書)
2015  『湛山読本―いまこそ、自由主義、再興せよ。』 (東洋経済新報社)
    『検証 日本の「失われた20年」』 (編著、東洋経済新報社)
2014  『原発敗戦 危機のリーダーシップとは』 (文春新書)
2013  『カウントダウン・メルトダウン』 (文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)
2010  『新世界 国々の興亡』 (朝日新聞出版社)
2007   The Peninsula Question: A Chronicle of the Second Nuclear Crisis (Brookings Institution Press)
2006  『ザ・ペニンシュラ・クエスチョン―朝鮮半島第二次核危機』 (朝日新聞社)
2005  『青い海をもとめて 東アジア海洋文明紀行』 (朝日新聞社)
2004  『歴史和解の旅 対立の過去から共生の未来へ』 (朝日新聞社)
2003   Reconciliation in the Asia-Pacific, ed. (USIP)
2001   Alliance Tomorrow, ed. (Tokyo Foundation)
    『日本の戦争責任をどう考えるか 歴史和解ワークショップからの報告』 (朝日新聞社)
2000  『あえて英語公用語論』 (文春新書)

講義一覧


今起こっている国際秩序の変容は「危機の20年」の再来か

国際秩序の変容~危機の予兆(1)「危機の20年」の再来か

今、国際秩序は変容の時代に入っている。第二次世界大戦の反省から、戦後「復讐のサイクル」をつくらないための国際的な信頼関係と和解が築き上げられてきた。しかし2010年代に入ってから、以前の信頼関係を切り崩す戦略を取る国々が増えたことで、国際秩序が大きく揺らいでいる。これは、ヴェルサイユ講話条約締結から第二次世界大戦勃発に至る「危機の20年」の再来なのか。(全7話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)


“経済相互依存の武器化”が始まっている

国際秩序の変容~危機の予兆(2)地経学化する地政学

戦間期と現在では、関税率の上昇が類似している。戦間期はこれにより世界が保護主義に傾いた。さらに、当時はラジオが大きな役割を果たしたが、現在ではインターネット等のデジタル化により、情報操作や金融情報のコントロールによる経済制裁が容易になってきている。そこで“経済相互依存の武器化”という表現を使い、こうした事態を「地政学はますます地経学化してきている」と船橋洋一氏は語る。(全7話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)


「トゥキュディデスの罠」で警告した状況が生まれつつある

国際秩序の変容~危機の予兆(3)中国の技術革新とトゥキュディデスの罠

中国の社会体制は、企業が政府や軍と強く結びついているため、新しい技術や情報の相互利用も容易になっている。日本は今後、こうした動きに対抗できるようなインテリジェンス機能と最新技術の活用を進めていく必要がある。(全7話中第3話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)


BREXITに向かって突っ走っているイギリスの悲劇性

国際秩序の変容~危機の予兆(4)イギリスの悲劇性とリーダーシップ

トランプ現象などを見ると、リーダーシップの質を維持する仕組みが世界中で壊れてきているように感じられる。注目すべきはイギリスで、しっかりと統治されていた国がなぜBREXITに向かって突っ走っているのか。その悲劇性について考えたい。(全7話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)


中国の経済的躍進のなか、日韓関係をどう考えていくべきか

国際秩序の変容~危機の予兆(5)ナショナリズムと日韓関係

世界の分断を克服する手立てとして、ナショナリズムは有効だろうか。韓国の場合、日本に強硬な立場を取ることで、国内の支持率上昇に成功してきた。しかし、中国の台頭を考えれば、日韓はナショナリズムでつぶしあわず、大局的な戦略によって関係を構築していくべきである。(全7話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)


国際秩序においてパワーの裏付けなければモラリティはない

国際秩序の変容~危機の予兆(6)パワーとモラリティ

香港の民主化問題は、ますます深刻化しており、中国や台湾が関与することで、長期化が予想される。こうした、世界中で生じている危機の性質を考える際には、パワーとモラリティのバランスによって成立する、国際秩序の仕組みを理解する必要がある。(全7話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)


資本主義の成長がなければ、嫉妬の政治になっていく

国際秩序の変容~危機の予兆(7)戦後日本の発展とこれから

戦後日本の発展は、人口ボーナスに加え国際秩序がプラスに働いたことで実現したが、現在は人口減少と経済成長率の低下などの問題が起こっている。また、現代の民主主義は資本主義の成長があってのもので、それがなければ、嫉妬の政治になっていくと船橋洋一氏は言う。日本はこうした状況を深刻に受け止める必要があるだろう。(全7話中第7話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)