池上英洋

東京造形大学教授

プロフィール

2013年4月着任/1967年広島出身。
専門はイタリアを中心とした西洋美術史・文化史。


著書に
『Due Volti dell’Anamorfosi』(Clueb, イタリア)、
『レオナルド・ダ・ヴィンチ―西洋絵画の巨匠8』(小学館)、
『レオナルド・ダ・ヴィンチの世界』(編著、東京堂出版)、
『もっと知りたいラファエッロ 生涯と作品』『同、ミケランジェロ』(いずれも東京美術)、
『ルネサンス 天才の素顔』(美術出版社)、
『恋する西洋美術史』
『イタリア 24の都市の物語』
『ルネサンス 歴史と芸術の物語』
『ルネサンス 三巨匠の物語』
『美しきイタリア 22の物語』(いずれも光文社)、
『神のごときミケランジェロ』(新潮社)、
『「失われた名画」の展覧会』(大和書房)、
『芸術家の愛した家』(エクスナレッジ)、
『西洋美術史入門』
『西洋美術史入門・実践編』
『死と復活』
『ヨーロッパ文明の起源』
『レオナルド・ダ・ヴィンチ: 生涯と芸術のすべて』(いずれも筑摩書房)など。


展覧会監修に「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の実像」(東京国立博物館、2007年)など。
東京新聞ほかにて展覧会評記事の連載など担当。時おりNHKラジオ・イタリア語講座応用編の講師。
日本文藝家協会会員。
※池上英洋先生が監修を務められている<ダ・ヴィンチ没後500年「夢の実現」展>が、2020年1月5日(日)から代官山ヒルサイドフォーラムで開催(~1月26日<日>)。

講義一覧


ルネサンスはどうやって始まった?…美術の時代背景

ルネサンス美術の見方(1)ルネサンス美術とは何か

ルネサンス美術とはいったい何なのか。これを考えるためには、なぜその時代に古代ギリシャ、ローマの文化が復活しなければならなかったのかを考える必要がある。その鍵は、ルネサンス以前のイタリアの分裂した都市国家の状態や、十字軍、貨幣経済の進展による商人の台頭など、多面的な文脈から明らかになる。(全8話中第1話)


マザッチョ…遠近法を生み出したルネサンス絵画の創始者

ルネサンス美術の見方(2)マザッチョと遠近法の世界

ルネサンスが始まったのは、経済的に豊かな町を作っていったフィレンツェであった。そこに登場したのが、「ルネサンス絵画の創始者」といわれるマザッチョだった。彼は古代ギリシャ・ローマに範を取りながら、それまでになかった「遠近法」という技法を生み出していった。(全8話中第2話)


油絵を完成させたヤン・ファン・エイクの驚くべき技法

ルネサンス美術の見方(3)ヤン・ファン・エイクの油彩技法

北方を拠点としたヤン・ファン・エイクは、油彩技法を完成させたルネサンス期の人物として名高い。外交官としての顔をも持ちつつ、作品の細部にさまざまな卓越した技巧をこらし、美術史上で最重要とも評される作品『ヘントの祭壇画』を生み出した。(全8話中第3話)


「最初の近代人」レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』

ルネサンス美術の見方(4)レオナルド・ダ・ヴィンチ~前編~

2019年は、レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年に当たるが、彼の功績はいまだに解読し尽くされていない。しかし、彼の重要性は、彼が「最初の近代人」であるという点にある。美を追求するだけでなく、観察に従った描写を目指す、科学者としての姿が、そこにある。(全8話中第4話)


解剖学でタブーに挑戦したレオナルド・ダ・ヴィンチ

ルネサンス美術の見方(5)レオナルド・ダ・ヴィンチ~後編~

レオナルド・ダ・ヴィンチは、さまざまな実験を行ったことでも知られる。それにより、事実を突き止めるとともに、新たな発明につなげていった。また、解剖学にも関心を抱き、立体的な身体の理解に努めたり、教会のタブーに抵触しかねない脳や内臓の解剖にも着手し、同時代の科学的知識を深めていった。(全8話中第5話)


ラファエッロが「ルネサンスの完成者」と呼ばれる理由

ルネサンス美術の見方(6)ルネサンスの完成者ラファエッロ

ラファエッロは、「ルネサンスの完成者」であるとされる。彼はそう見なされるにふさわしく、同時代のさまざまな技法を取り入れながら自身の作品に生かし、古代ギリシャ・ローマを忠実に再現することを試みた。これにより、神に比肩する創造者を自負するようになる。(全8話中第6話)


ルネサンスを終わらせたマニエリスム様式…ミケランジェロ

ルネサンス美術の見方(7)ミケランジェロとルネサンスの終焉

ミケランジェロの作風は、明らかにアンチ・ルネサンスの様相を呈していた。そこから「マニエリスム」という新しい様式を創り出し、それがルネサンスを終わらせるに至った。その特徴は、螺旋状に構築された彫刻に見て取れる。(全8話中第7話)


カンヴァスと油彩画の組み合わせを定着させたティツィアーノ

ルネサンス美術の見方(8)ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ

フィレンツェと北方に次いで、ヴェネツィアはルネサンス第3極として位置付けられる。特に最大の巨匠であるティツィアーノは、共和国の筆頭画家として活躍した。海運国家の特性が対象や技法に現れており、特にカンヴァスと油彩画の組み合わせは、今日の美術の出発点となっている。(全8話中第8話)